第如何夜
こんな夢を見た。
夜気に誘われてがらり戸を開くと、二匹の猫が足許へ擦り寄って来る。
一匹は黒漆を湛えた様な玄色で、一匹は灰掛かった肢体にやはり薄い灰を帯びた縞を纏っている。
彼らは鳴きはせずとも、其の軟らかい身体をするりと寄せては、擬っと見詰めて小首を傾ぐ。強請られているのだろうか。瞬きもしない四つの眸。
夜闇観賞を諦めて台所に引き返す。残り物の飯を適当に解して与えてみれば、物言わぬ彼らは少しだけ嬉しそうに虹彩を細めた。
そんな夜が、幾夜か続いた或る日。
片手に夕餉の残りを双皿、もう片手には晩酌様の缶ひとつ。やや手間取ったがらり戸の開閉の先に、大人しく鎮座する彼らの姿は見当たらない。
不思議に思う程度には、彼らとの絆を深めていた。皿を置く、床が鳴く。
ことり、
――俄かに騒がしい。
塀の向こうに横たわる大川が、明滅する朱色で氾濫していた。河川敷が、川面が、燃えた様に朱い。
子供が、子供が、
引き攣れた叫ぶ声に、水を掻き分ける音が混ざる。
子供が、子供が、
飽きた。
本当に変な夢を見たので其の儘書いてみようと思ったけど、オチまで行き付かず。
過去一番ぐっときた本は、夢十夜です。
最近、古い言葉遣いの出てくる本を好んで読んでいた所為か、気を許している人を指す時に「あれは、」とか「此れは、」とか云ってしまってる事を、後輩に指摘されてしまって嗚呼ァ。
こう云うの、うつりますね。でも、此れは宜しくないめの表現ですね。気を付けよう。
ちなみに、颯太くんと喋った後だと、必ずちょっと訛る。
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shiratama
autore
HN:
K(かのか)
性別:
女性
職業:
社会人見習い